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DTMストリングス音源の比較〜7種類の音源聴き比べ

2019年7月29日

DTMの音源には様々なものがありますが、デモを聴いてみるとどれも良さげに思えてしまいますよね。
買ってみたら「う〜ん、ちょっと違うなぁ」なんてこともあるかもしれません。

毎回同じ音を使っていると飽きちゃったり・・・。

そういう訳で、今回はストリングス音源の違いについて焦点を当てて比較してみました。

私も色々試してみたくて、セール中には飛びついてしまいがちなんですが。
同じ曲、同じフレーズを違う音源で再生したらどう違うのか』を実際に演奏させてみました。

ウッドウインズ系の比較はこちらをどうぞ

ブラス系の比較はこちらをどうぞ

 

Youtubeにもアップしましたのでよろしければご覧ください。

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概要

どの音源を購入するか悩んでいる。
デモじゃなくてベタ打ちでどのくらい表現できるのかな、なんて気になるところでもあります。
実際に聴き比べてみると違いって結構あるように思います。

使用音源

今回実証に使った音源はすべて『キースイッチ』で奏法を切り替えできるタイプです。

・VIENNA CHAMBER STRINGS 1
・VIENNA SPECIAL EDITION VOL. 1
・SESSION STRINGS PRO
・VINTAGE STRINGS
・SPITFIRE CHAMBER STRINGS
・THE ORCHESTRA
・KONTAKT Factory library

以上、7つを比較してみたいと思います。

MIDIデータについて

それぞれのMIDIデータは同じものを使用しておりますが、発音がおかしな箇所は多少ずらしています。
大幅に強弱が出てしまった箇所のベロシティも若干調整しています。

キースイッチ

・レガート
・サスティン
・トレモロ
・スタッカート

を使用しています。

その他の楽器

一応どんな雰囲気になるのかをバンドミックスで検証するため、バランス低めでピアノ、エレキベース、ドラムを追加しています。

・Spectrasonics Keyscape『ピアノ』
・Spectrasonics Trilian『ベース』
・Fxpansion BFD3『ドラム』

 

ストリングス音源を比較してみよう

私が思う評価で恐縮ですが、それぞれ甲乙付けてみたいと思います。

VIENNA CHAMBER STRINGS 1

オーケストラ音源の老舗といえばVIENNA。
チャンバーストリングスは小規模で構成されており、ヴァイオリンは6人編成。
ヴィオラ4人、チェロ3人、ダブルベース2人。
大人数のオーケストラとは違い、ストリングスの弦の響きがより明確に聴こえます。

現代の音楽との組み合わせは抜群で、打ち込みでも使いやすい音色ではないでしょうか。

使用エンジン:VIENNA INSTRUMENTS
使用楽器:ヴァイオリン、チェロ

使ってみた感想

音質
操作性
使いやすさ
ポップスとの相性

音質:比較したストリングス音源の中では、とにかく音が綺麗で生に近い。そして響きに空気感があります。
アーティキュレーションも豊富でキースイッチで切り替える奏法が数多く収録されています。
また、ラウンドロビン機能により、繰り返し同じノートを発音しても自然に聞こえるので機械的にならないのも特徴です。

音から音へと滑らかに移動してくれるViennaのレガートはとても重宝しています。
ピッチベンドを使わずに再現できるので便利です。

操作性:VIENNA INSTRUMENTSのインターフェースに慣れてるまでがちょっと大変。
アタックやリリース、衰退の速度などはもちろん、細部にわたり設定できるため、より完成度を高められ、自然なニュアンスで鳴らすことができる。
キースイッチで切り替えられるアーティキュレーションも自由に組み合わせ可能。

使いやすさ:音楽的素養や機械的な操作がわからないうちは、難しいソフトではないだろうか。
使い方を覚えてしまえば、好みの設定をプリセットとして保存できるので、次回からの使用が楽になる。

ポップスとの相性:音がしっかりしているため、他の楽器が入っていても音負けしない。
ストリングスの艶が心地よく出てくれるので、相性高めです。

総合:音が良い上に細かな部分まで設定できるが、値段が高い。
音源の数が多く揃っており、VIENNA INSTRUMENTSで集約してしまえばCPU負荷軽減の面でもViennaはおすすめの一つ。
Viennaはサブのパソコンを音源用として接続できるもの特徴です。


VIENNA SPECIAL EDITION VOL. 1

引き続きオーケストラ音源の老舗といえばVIENNA。
CHAMBER STRINGSとは違い、オーケストラ編成の音源です。
ストリングス以外にブラスやウッドウインド、パーカッションやピアノなど、一通りのオーケストラ楽器が数多く収録されています。

一般的なオーケストラ音源を使いたい場合はこれで十分ではないでしょうか。

使用エンジン:VIENNA INSTRUMENTS
使用楽器:ヴァイオリン、チェロ

使ってみた感想

CHAMBER STRINGSと同様です。
オーケストラ向きなので、壮大感が欲しい時はおすすめです。

SESSION STRINGS PRO

メイン画面ではボリューム、Bowノイズやステレオ感の設定、アタックやリリースの調整があるだけのシンプルさ。
バイオリン4人編成、ビオラ3人編成、チェロ2人編成、ベース2人編成。

キースイッチで変更可能なアーティキュレーションが29も用意されており、必要に応じて読み込むことで使用容量を削減できる。
「セクション1と2」「セクション3と4」があり、それぞれ現代的な楽器の配置と古典的な楽器の配置を選択可能。

使用エンジン:Kontakt
使用楽器:ヴァイオリン、チェロ

使ってみた感想

音質
操作性
使いやすさ
ポップスとの相性

音質:音は可もなく不可もなくといった感じでしょうか。悪くはなく、自然に鳴ってくれます。
アーティキュレーションの切り替えも違和感なく聞こえます。

操作性:設定箇所が少ないです。
シンプル設計で分かりやすい。

使いやすさ:立ち上げてすぐに使えるほど特に設定も必要がないので、とりあえず打ち込んでおきたい人に向いていると思います。

ポップスとの相性:音は普通かと思いきや、バンドサウンドでの相性は良いです。
出過ぎず、埋もれずバランスの良い存在感があります。

総合:Kontaktを使っている人にはおすすめの音源です。
オーケストラの打ち込みにも使えます。

 

VINTAGE STRINGS

ビンテージストリングスという名前の通り、1960年代くらいのソウルやファンク、R&Bに含まれるバイオリンを表現しています。
和音を設定しておくことで指一本でコード演奏ができます。
ヴァイオリンのみの収録ですが、編成人数を2人、6人、12人から選択可能です。

使用エンジン:Kontakt
使用楽器:ヴァイオリンのみ

使ってみた感想

音質
操作性
使いやすさ
ポップスとの相性

音質:ちょっと古めかしく懐かしみのある音質です。
1960年〜1970年くらいの音質を求めている人に向いています。
TAPE SET機能により、当時の音質のような歪みを加えることが可能です。

操作性:かなりシンプルです。大雑把な設定しかないので、読み込んですぐに使えます。

使いやすさ:他の音源にはあまりない「駆け上がるようなフレーズ」がアーティキュレーションとして用意されています。
打ち込みで表現するには音源の相性によって不自然になってしまいがちですが、アップダウンに加えメジャー・マイナーを表現可能です。
ただし、テンポ設定ができないので使える曲が限られてしまいます。

ポップスとの相性:ジャンルにより合う合わないがハッキリしそうです。
レコードやカセットテープのような音質を求めるなら良いかもしれません。
最近のクリアな音源に荒さを足す、という使い方もアリでしょうか。

総合:2人、6人、12人と編成を選べるのは嬉しいです。
荒さのある音質ですが、粗悪というわけではありません。
良い意味での歪みを表現してくれます。

SPITFIRE CHAMBER STRINGS

ロンドン発のSPITFIREシリーズのストリングス音源
マイクポジションはClose、Tree、Ambientが用意されており、個別にボリュームを調整することで楽曲に合わせて距離感/アンビエンスを自在に調整することができます。

1st Violins(4人編成)、2nd Violins(3人編成)、Violas(3人編成)、Cellos(3人編成)、Basses(3人編成)。

使用エンジン:Kontakt
使用楽器:ヴァイオリン、チェロ

使ってみた感想

音質
操作性
使いやすさ
ポップスとの相性

音質:音がとてもクリアです。
『ヴィンテージアナログ機材(チューブマイク、リボンマイク、プリアンプ、テープレコーダー)を介し、96kHzデジタル収録』というから凄いんでしょうか。
必要に応じてクローズ、トゥリー、アンビエントをそれぞれオンオフ可能で、距離感を表現できます。

操作性:Vienna程とは言えませんが、設定できる箇所が多いです。
ビブラートのスピードやダイナミクスも調節可能です。

使いやすさ:立ち上げてすぐに使える音源ですが、容量が多いので負荷が気になるところです。
キースイッチの位置を調整できるのも嬉しい点です。

ポップスとの相性:音圧や艶があり、クリアな音質が特徴です。
とても相性の良い音源です。

総合:音が良いが値段が高いです。
セール中に狙うしかないですね。音はさすがロンドンといった感じです。

 

THE ORCHESTRA

名前の通りオーケストラのための音源です。
ストリングス、ブラス、ウッドウインズ、パーカッション、コーラスが用意されています。

使用エンジン:Kontakt
使用楽器:ヴァイオリン、チェロ

使ってみた感想

音質
操作性
使いやすさ
ポップスとの相性

音質:オーケストラの壮大感があります。
ホールの鳴りがハリウッド映画のようなサウンドをイメージさせてくれます。

操作性:見やすく分かりやすいシンプルな設計です。
イコライザーとリバーブしかありません。

使いやすさ:壮大さがある割に軽い気がします。
奥行きのある音質ですので、打ち込みに荒さがあっても目立たないです。

ポップスとの相性:ポップスには向いていないかもしれません。
オーケストラとしての使い方を求めている人にはおすすめです。

総合:オーケストラサウンドなら抜群に使いやすいですが、ポップスには厚すぎる上、迫力出過ぎな感じがします。

 

KONTAKT Factory library

番外編です。
Kontaktを買えばダウンロードできるKONTAKT Factory libraryです。
マルチ音源で様々な音色が収録されています。

そう言えばあったな程度で試しに使ってみました。
以外や以外、結構使えます。

それもそのはずViennaのVSL音源でした。

使用エンジン:Kontakt
使用楽器:ヴァイオリン、チェロ

使ってみた感想

音質
操作性
使いやすさ
ポップスとの相性

音質:思っていたより良いです。
VSL音源ではあるものの、全ての機能が使える訳ではないようです。
廉価版といったところでしょうか。

操作性:案外使いやすいです。
設定もアーティキュレーションごとになら可能のようです。

使いやすさ:立ち上げてすぐに使える上、容量がめちゃくちゃ少ないです。
CPU負荷とは無縁な音源でしょうか。

ポップスとの相性:あまり主張のないポジションなら合いそうです。

総合:一旦KONTAKT Factory libraryで打ち込んでおいて、後に他の音源に差し替えるという使い方もアリですね。

 

まとめ

普段使う音源ってだんだん限られてきてしまいます。
こうやって使い比べてみて初めて知った機能もありました。

値段の差はあるけれど、どれもそれぞれ合う使い方があるなと思いす。
同じMIDIデータで再生したため鳴りがおかしいものもありましたが、作り込めば良く鳴ってくれる音源ばかりです。

・総合的に使いやすいのはSESSION STRINGS PRO
・音質が良いのはViennaかSPITFIRE
・古めかしい使い方や荒さが欲しい時はVINTAGE STRINGS
・オーケストラの迫力を求めるならTHE  ORCHESTRA
・軽さを求めるならKONTAKT Factory library

という個人的な結果になりました。
何か参考になれば幸いです。

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なる

音楽と映像と写真と料理とお酒をこよなく愛すフリーランスの作編曲家。 バンドやユニット等のアーティスト活動を経て、フリーランスのクリエイターへ転向。 人生についてあれこれ試行錯誤しております。 お仕事のご依頼はお問い合わせよりご連絡ください。

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