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DTM木管Woodwinds音源の比較〜5種類の音源聴き比べ

2020年1月6日

今回はウッドウインズ音源を比較してみました。
クラシックやオーケストラで使われている、いわゆる木管楽器のことですね。

バンドサウンドや最近の音楽ではあまり使われない楽器ですけど、ゲーム音楽などではよーく使われます。

特にスーパーファミコンやプレステのようなゲーム機には、元から備わっている音源を鳴らしています。
ゲームソフト自体の容量を減らすためにも必要だったんですよね。
フルートやクラリネットといった楽器は、ゲームサウンドとして都合の良いラインナップといったところです。
そんな昔のゲーム機にはどんな楽器の音が入っているかはこちらをどうぞ

前回ご紹介しましたストリングス系の記事はこちらをどうぞ

ブラス系の記事はこちらをどうぞ

数ある音源はあるけれど、どれを買おうか迷っている。
そんな方に参考になれば幸いです。

ちなみにYouTubeにもアップしておりますので、よろしければどうぞ。

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概要

デモソングって結構いい感じに聞こえちゃうので「実際に使ってみると違うな」なんてこともあります。
「ベタ打ちでどのくらい表現できるのか」といった手取り速さも評価の一つです。
それぞれ良いとろこ、もう少しなところがありましたのでご紹介していきます。

使用音源

今回実証に使った音源はすべて『キースイッチ』で奏法を切り替えできるタイプです。

・VIENNA SPECIAL EDITION VOL. 1
・SPITFIRE SYMPHONIC WOODWINDS
・THE ORCHESTRA
・KONTAKT Factory library
・PROJECT SAM SYMPHOBIA

以上、5つを比較してみたいと思います。

MIDIデータについて

それぞれのMIDIデータは同じものを使用しておりますが、発音がおかしな箇所は多少ずらしています。
大幅に強弱が出てしまった箇所のベロシティも若干調整しています。

キースイッチ

・レガート
・サスティン
・スタッカート

を使用しています。
音源によっては不自然になる奏法もありましたので、サスティンでノートを短くしてスタッカートに聞こえるようにしています。

その他の楽器

どのような雰囲気になるのかバンドミックスで表現してみたかったんですが、比較しづらくなってしまいました。
オーケストラの木管小編成で、アコースティックギターの伴奏を入れています。

ウッドウインズ音源を比較してみよう

私が感じた評価を勝手につけてますので、予めご了承ください^^:

VIENNA SPECIAL EDITION VOL. 1

やっぱりVIENNAの音はクリアですね。
さすが老舗といったこところです。
ウッドウインズ以外にもストリングス、パーカッション、ピアノなどオーケストラで使われる楽器が一通り収録されています。

この音源だけで十分に網羅されていますので、オススメです。

使用エンジン:VIENNA INSTRUMENTS
使用楽器:バスクラリネット、クラリネット、フルート、オーボエ

使ってみた感想

音質
操作性
使いやすさ
ポップスとの相性

音質:比較したストリングス音源の中では、とにかく音が綺麗で生に近い。そして響きに空気感があります。
アーティキュレーションも豊富でキースイッチで切り替える奏法が数多く収録されています。
また、ラウンドロビン機能により、繰り返し同じノートを発音しても自然に聞こえるので機械的にならないのも特徴です。

音から音へと滑らかに移動してくれるViennaのレガートはとても重宝しています。
ピッチベンドを使わずに再現できるので便利です。

操作性:VIENNA INSTRUMENTSのインターフェースに慣れてるまでがちょっと大変。
アタックやリリース、衰退の速度などはもちろん、細部にわたり設定できるため、より完成度を高められ、自然なニュアンスで鳴らすことができる。
キースイッチで切り替えられるアーティキュレーションも自由に組み合わせ可能。

使いやすさ:音楽的素養や機械的な操作がわからないうちは、難しいソフトではないだろうか。
使い方を覚えてしまえば、好みの設定をプリセットとして保存できるので、次回からの使用が楽になる。

ポップスとの相性:音がしっかりしているため、他の楽器が入っていても音負けしない。
艶のある心地よい音で響いてくれますので、相性は良いでしょう。

総合:音が良い上に細かな部分まで設定できるが、値段が高い。
音源の数が多く揃っており、VIENNA INSTRUMENTSで集約してしまえばCPU負荷軽減の面でもViennaはおすすめの一つ。
Viennaはサブのパソコンを音源用として接続できるもの特徴です。

SPITFIRE SYMPHONIC WOODWINDS

ロンドン発のSPITFIREシリーズのウッドウインズ音源。
マイクポジションはClose、Tree、Ambientが用意されており、個別にボリュームを調整することで楽曲に合わせて距離感/アンビエンスを自在に調整することができます。

ピッコロ、フルート、オーボエ、クラリネット、バスーンに加え、アルト/バス・フルート、バス・クラリネット、コントラバス・クラリネット、コントラバスーン

各楽器にソロとa2セクションが収録されています。

使用エンジン:Kontakt
使用楽器:バスクラリネット、クラリネット、フルート、オーボエ

使ってみた感想

音質
操作性
使いやすさ
ポップスとの相性

音質:音は良いです。
必要に応じてクローズ、トゥリー、アンビエントをそれぞれオンオフ可能で、距離感を表現できます。
オーケストラでの収録ということもあり、空気感があります。

リアルに表現されているのか、楽器が発するノイズが結構聞こえます。
音程の開閉音がカタカタ鳴り、ステージノイズがミシミシします。
全体と合わされば気にならなくなりますが、単体では使いづらい点です。

操作性:Vienna程とは言えませんが、設定できる箇所が多いです。
ビブラートのスピードやダイナミクスも調節可能です。

使いやすさ:立ち上げてすぐに使える音源ですが、容量が多いので負荷が気になるところです。
キースイッチの位置を調整できるのも嬉しい点です。
なぜか各楽器のスイッチが同じ並びになっていないところが気になります。

ポップスとの相性:音圧や艶がありクリアな音質が特徴ですが、奥に引っ込んだ感じがありますので、
前面に出したい時には向かないかもしれません。

総合:音が良いんですけど値段が高いですね。
セール中に狙うしかないですね。音はさすがロンドンといった感じです。

 

THE ORCHESTRA

ザ・オーケストラです。
ストリングス、ブラス、ウッドウインズ、パーカッション、コーラスが用意されています。
その名の通り、オーケストラ向きの音源です。

バスクラリネットがないのでバスーンで代用しています。

使用エンジン:Kontakt
使用楽器:バスーン、クラリネット、フルート、オーボエ

使ってみた感想

音質
操作性
使いやすさ
ポップスとの相性

音質:オーケストラならではの壮大感があります。
ホールの鳴りがハリウッド映画のようなサウンドをイメージさせてくれます。
ゲームサウンドや迫力のあるBGMには使いやすいです。

操作性:見やすく分かりやすいシンプルな設計です。
イコライザーとリバーブしかありません。

使いやすさ:壮大さがある割に動作が軽い気がします。
奥行きのある音質ですので、打ち込みに荒さがあっても目立たないです。

ポップスとの相性:ポップスには向いていないかもしれません。
奥行きがあり過ぎて違和感があります。
ですが、オーケストラとしての使い方を求めている人にはおすすめです。

総合:その名の通りオーケストラサウンドとしての使い方をお探しの方は、動作が軽く使いやすく安いです。

 

KONTAKT Factory library

ストリングス編では番外扱いしてしまったKontakt Library。
VSL音源だったということでViennaの質感が垣間見えます。

使用エンジン:Kontakt
使用楽器:バスクラリネット、クラリネット、フルート、オーボエ

使ってみた感想

音質
操作性
使いやすさ
ポップスとの相性

音質:思っていたより良いです。
VSL音源ではあるものの、全ての機能が使える訳ではないようです。
廉価版といったところでしょうか。
奏法の表現が他の音源に比べ、ちょっとイマイチかなと感じます。

操作性:案外使いやすいです。
設定もアーティキュレーションごとになら可能のようです。

使いやすさ:立ち上げてすぐに使える上、容量がめちゃくちゃ少ないです。
CPU負荷とは無縁な音源でしょうか。

ポップスとの相性:他の楽器と合わさるなら荒さが気にならなくなりそうです。

総合:手っ取り早く打ち込めて、後に他の音源に差し替えるという使い方になりそうな予感がします。

 

PROJECT SAM SYMPHOBIA

今回ご紹介する中での番外編。
ハリウッド映画並みの素直じゃない音の使い方が魅力(?)の音源です。

楽器ごとに分けられておらず、ストリングス・ウッドウインズ・ブラスといった大まかに区別されています。
例えばウッドウインズでいえば、ウッドウインズセクションという音色になっており、木管全体の音色が鳴ってくれます。

キースイッチもあり、サスティン・レガート・スタッカート・ピチカートなどが揃っています。
楽器単体ごとに音色を読み出さなくても、セクションごとに読み出せるので楽な面もあり、迫力もあります。

ストリングス、ウッドウインズ、ブラスがセクションごとに。
そのほかにヒットやパッドが僅かに収録されています。

使用エンジン:Kontakt
使用楽器:ウッドウインズセクション

使ってみた感想

音質
操作性
使いやすさ
ポップスとの相性

音質:結構いいです。
セクションごとの音色なので細かく分けることはできませんが、あくまでセクションとしての使い方であれば問題ないです。
ノート1音でセクション内の発音しうる音が一度に鳴ってくれますので、割と簡単に迫力を出せます。

操作性:いたってシンプル。
アーティキュレーションごとに設定も可能で、クローズ・オープン、リバーブやリリースなど分かりやすい設計です。

使いやすさ:様々なジャンルやニーズにも、ついつい選んでしまうほど使いやすさと色気がありす。
やはり簡単に鳴りを出してくれるのは、作業効率を減らしてくれますね。

ポップスとの相性:ここぞという場面でも主張してくれます。
ビブラート感が自然に出ていますので、感情表現したい時には相性が良いです。

総合:単音を数トラック立ち上げて、という作業がなくなり迫力もあるので手っ取り早く出したい時には重宝します。


まとめ

ついつい買ってしまう音源の数々。
DTMってお金かかるのが最大のデメリット。
その分、幸福感も訪れている、と感じている。

人それぞれ使い方や使い道が違うので、実際に使ってみないと良し悪し分かりませんが、何かの参考になれば嬉しいです。

・総合的に使いやすいのはSPITFIREかProject Sam
・音質が良いのはVienna、SPITFIRE、Project Sam
・異色な雰囲気があるのはProject Sam
・オーケストラの迫力を求めるならTHE  ORCHESTRA
・軽さを求めるならKONTAKT Factory library

という個人的な結果になりました。
何か参考になれば幸いです。

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なる

音楽と映像と写真と料理とお酒をこよなく愛すフリーランスの作編曲家。 バンドやユニット等のアーティスト活動を経て、フリーランスのクリエイターへ転向。 人生についてあれこれ試行錯誤しております。 お仕事のご依頼はお問い合わせよりご連絡ください。

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